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ニュートリノ振動

 

 ニュートリノは変身する!!!


素粒子の標準模型では,ニュートリノは3種類(νeνμντ)あり,それらの質量はゼロと記述/仮定されています。しかし最近の研究により,ニュートリノが飛行中に別の種類のニュートリノに変化してします,「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象を起こしている事が観測されました。
 この事は,ニュートリノ振動がニュートリノが質量を持っていなければ起こりえない現象である事から,ニュートリノがゼロでない質量を持つ事を間接的に証明した事と言えます。従って,標準模型における一つの「ほころび」を見つけた事を意味していて,このニュートリノ振動現象を明確に理解することが,次世代の理論構築につながる事を物語っています。
現象のニュートリノ振動現象は,その大きさを表す振動角と呼ばれるθ12θ23θ13の三つのパラメータ(この振動角は,ニュートリノ振動の観測によってはじめて値がえられます。)を含んだMNS(牧,中川,坂田)行列と言う理論式で記述されています。

ちなみに,クォークの場合は同様に,小林・益川のノーベル賞受賞で知られたCKM(キャビボ,小林,益川)行列で記述されています。
従って,このニュートリノ振動を理解するためには,実験によってこれらの振動角を測定し,MNS行列を完成させなければなりません。


 これらの振動角とそれぞれのニュートリノ間の変身の関係は,模式的に上図で示されます。 原子炉や太陽からはνe(前者からは,反ニュートリノですが)が発生しますので,それからの変身は,飛行距離によって現れ方が違うのですが,太陽ニュートリノやカムランドのように飛行距離が長い場合にはθ12が,一方ダブルショーのように短い場合はθ13が良く効くパラメータとなります。(振動と距離の関係は,次の段落で説明します。)また,スーパーカミオカンデにおける宇宙線の大気中の原子核との衝突で生成される大気ニュートリノや,K2K等のように加速器で生成されるニュートリノの場合は,νμが主成分ですので,θ23が良く効くパラメータとなります。逆に言えば,それぞれのパラメータの測定は,それが効くニュートリノと距離を選ぶ事が重要だと言えます。ダブルショー実験に関しては,原子炉ニュートリノを(1kmより少し長い程度の)短距離で測定するので,上のイメージ図で赤い矢印で示された振動,即ちθ13の測定に適していると言えます。

 原子炉で発生した反電子ニュートリノが,ある距離進んだ所で反電子ニュートリノとして残っている(残りは別の種類のニュートリノに変身している)確率を示したものが下の図です。(クリックすると拡大図が得られます。)


 横軸は距離をエネルギーを割ったものです。(ほぼ距離に対応すると考えて下さい。)高さは,変身しないで生き残っている確率(予想値)です。始めは全て反電子ニュートリノですから当然,「1」ですが,進行するにつれその確率が下がる事が示されています。最初の凹み(一番小さくなる所)が,θ13による効果でニュートリノの変身が最大となった地点です。その後波打ちながら(このために,ニュートリノ「振動」と呼ばれています。)大きく下がっていき,大きな振動を起こしている事が示されています。即ち,距離の長い大きな振動に,距離の短い小さな振動が載っていると言えます。これは今度はθ12による変身の効果で,非常に大きい事が分かります。この大きな振動の部分については,太陽ニュートリノによる実験やカムランド実験が非常に良い結果を得ています。一方,近距離での小さな凹みから始まる小さな振動は,その小ささの為に,これ迄どの程度凹むかをきちんと測定できなかったものです。小さいからと言って,それを測定する事の物理の面での重要性が小さいものではなく,むしろ今後の宇宙での物質・反物質対称性の謎に向けては,決定的に重要な意味を持っているのです。その為,ダブルショー実験等が,実験精度を良くしてこの図の程度のものなら問題無く凹みの程度を測定しようとしており,またその成功が非常に注目されているのです。


ニュートリノ物理
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